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考えるが答えは見つからず、俺はそのまま靴を履いて外へ飛び出した。
この街のどこかに、まだユリはいるはずだ。
とにかく彼女がいそうな場所を、手当たり次第探してまわる。
コンビニ、スーパー、本屋、雑貨店・・・。
どこもユリと一緒に立ち寄った、彼女の笑顔が記憶に残っている場所を、走ってまわった。
しかし・・・そのどこにも彼女はいなかった。
走り回っている最中、気づいた。
ユリが寝ている時にかかってきた、小原からの電話のこと。
急にユリがいなくなったのは、あの電話の声が聞こえたからじゃないのか。
ずっと彼女とは会えない日が続いていた。
久しぶりに訪れた俺の部屋で女性の声を聞いたとしたら、最悪の想像をしたとしてもおかしくない。
彼女が仕事にうちこんでいる間に、俺が心変わりをしたと思われたんじゃないのか。
そんな辛い想いを、させてしまったんじゃないのか。
ユリがいない街から、絶望感を抱えたまま自分の部屋へ戻る。
何度も、電話した。
けれどユリはその存在ごと、俺の前から忽然と消えてしまった。
ソファに座り、携帯の真っ黒な画面を見つめる。
誤解したのか?・・・
こんなに惚れてるのに・・・
そんなことあるわけない・・・
どうしたらいいんだ・・・ ユリ・・・
彼女を失うこと・・・ それが頭をよぎり、テーブルへ突っ伏した。
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