45

2/3
前へ
/194ページ
次へ
「沢田たちに『小原が来るから飲もう』と言われて、考えたけど・・・もし彼女と話す時間があったら、ハッキリ大事な人がいるって言おうと思ってた・・・。」 信じて欲しい。 ユリを裏切ることなんて、ありえない。 微塵も疚しいことはないんだ。 俺は携帯を手にし、それを証明するための唯一の方法を実行した。 『はい、氷室くん?』 「あ、小原?・・・さっきは途中で電話を切ってごめん。」 『そうよ、心配したんだから。さっきは人の話を全然聞いてなかったでしょう。』 「・・・・うん。」 『でも、嬉しいわ!氷室くんから電話をくれるなんて。もっと話したいと思ってたの。』 「・・・・うん。」 『ね、今度どこかに行かない?沢田くんたちは抜きで・・・氷室くんに、私・・・。』 「いや・・・二人で会うつもりはないよ。」 『え・・・あの、すぐじゃなくて良いのよ?時間がある時に・・・それでも?ダメ?』 「うん・・・これからも。実は、小原に言わなきゃいけないことがあって、電話した。」 『・・・・・嫌よ、聞きたくない。』 「俺には大切な人がいる。彼女を泣かせたくないから、悪いけどもう連絡してこないでくれ。」 『・・・・・。』 小原に対して、酷いことをしているのはわかっていた。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4423人が本棚に入れています
本棚に追加