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「沢田たちに『小原が来るから飲もう』と言われて、考えたけど・・・もし彼女と話す時間があったら、ハッキリ大事な人がいるって言おうと思ってた・・・。」
信じて欲しい。
ユリを裏切ることなんて、ありえない。
微塵も疚しいことはないんだ。
俺は携帯を手にし、それを証明するための唯一の方法を実行した。
『はい、氷室くん?』
「あ、小原?・・・さっきは途中で電話を切ってごめん。」
『そうよ、心配したんだから。さっきは人の話を全然聞いてなかったでしょう。』
「・・・・うん。」
『でも、嬉しいわ!氷室くんから電話をくれるなんて。もっと話したいと思ってたの。』
「・・・・うん。」
『ね、今度どこかに行かない?沢田くんたちは抜きで・・・氷室くんに、私・・・。』
「いや・・・二人で会うつもりはないよ。」
『え・・・あの、すぐじゃなくて良いのよ?時間がある時に・・・それでも?ダメ?』
「うん・・・これからも。実は、小原に言わなきゃいけないことがあって、電話した。」
『・・・・・嫌よ、聞きたくない。』
「俺には大切な人がいる。彼女を泣かせたくないから、悪いけどもう連絡してこないでくれ。」
『・・・・・。』
小原に対して、酷いことをしているのはわかっていた。
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