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でも、俺にとって何より大事なのはユリだ。 他の女にチンケな優しさをばらまくつもりなど、毛頭ない。 ユリに俺の潔白を証明して、崩れかけた関係を取り戻したいと、ただそれだけで必死だった。 小原は、ずっと黙っていた。 「じゃあ、元気で。」と言った俺に、彼女は消えそうな声で『氷室くんも』と呟いて、静かに電話が切れた。 携帯を棚に置いてソファへ座ると、声を出さずに泣いているユリがよりいっそう小さく、儚く見えた。 「ユリ、俺が大切なのは、おまえだけだ。・・・ユリは、俺を信じられるか?」 「・・・・・はい。」 大きく頷く彼女。 張りつめた緊張の糸が切れて、目の前の愛しい存在を抱き寄せる。 「ん・・・・もう、泣くな。」 「ごめんなさい。疑って、ごめんなさい。」 彼女は、何度もそう言って俺のシャツに顔を埋め、震えていた。 これからは不安になんかさせない。 悲しませたくない。 そんな隙間もないように、ユリの中にはいつでも俺がいるように、これから毎日毎日、気持ちを伝えていこう。 一人の時でも、おまえを一人になんかさせない。 俺は彼女の顎をあげて、震える唇にキスを落とす。 本当に久しぶりの、甘いキスを・・・
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