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将来まで考えるほど、本気で惚れた相手。
誕生日には何をあげたら喜ぶかばかり考えていた俺だったけれど、それは間違いだと沢田に教えられた。
彼女はおそらく何をプレゼントしても喜ぶだろう。
そう考えると、してあげたいことが次から次へと溢れ出てきて、それだけ彼女に夢中な自分がなぜか誇らしく感じた。
「ユリ?」
通勤電車で一緒の彼女は、俺が頬を触るとくすぐったいと言いながら、気持ち良さそうに目を閉じていた。
「はい?」
「明日の休みは、まず俺の部屋に来てくれる?」
「ふふっ、待ち合わせじゃなくて?・・・それも良いですね。」
「すげぇ久しぶりのデートだろ?ユリと時間を気にしないで、とにかくゆっくりと過ごしたいんだ。」
「はい、賛成です。」
「午前中から来てな?出来たら映画のDVDをレンタルしてきてよ。それを二人で観て、気が向いた時に出掛けよう。」
「わかりました・・・楽しみ。」
にっこり笑って出来たエクボに、柔らかな頬に、無邪気に喜んでくれる彼女に、また愛しさがこみ上げる。
朝の光がさして揺れる睫毛に見とれながら、早くも癒されていた。
そして俺は、耳元に唇を寄せ
抑え切れない本音を囁く。
「マジで俺、ユリ不足なんだ。どうにかして?」
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