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「ドライブはお気に召しましたか?お嬢様。」
首都高を南へ進む車の中で、助手席のユリへ向かって冗談混じりに声を掛ける。
さっきから外の景色を楽しみ、ご機嫌な様子の彼女は、運転席の俺を見てにっこり笑った。
今日は彼女の誕生日。
二人で休みを合わせ、午前中から俺の部屋でゆっくりと過ごし、陽が暮れる少し前になってドライブへ誘った。
数日前からこの誕生日のために、湘南のレストランを予約しプレゼントを用意していたが、それをユリには告げずに連れ出していた。
サプライズを気取って、彼女が喜ぶ顔を見てみたかったからだ。
「はい・・・・こういう時間帯も素敵ですね。」
「・・・・・なら、良かった。」
夜と昼の間の短い時間。
西の空からオレンジ色の光が彼女を照らし、俺に向けられた瞳の色さえ変えてしまう。
その微笑みに一瞬ドキッとしながら、慌てて前を向いて運転するも、左側から感じる愛しい存在にたまらず手をのばす。
悟った彼女は両手でそれを包み、「ふふっ」と笑いながら再び窓の外を見始めた。
あぁ・・・やっぱり・・・
ユリの隣に居られて、良かった・・・
特別なこの日に・・・
二人で過ごせて本当に良かった・・・
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