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数日前に湯川から、あの彼女の家が近いと聞いて密かに喜んでいる俺がいた。
毎日数十万人が利用する、このターミナル駅。
朝の雑踏の中に、簡単には見つけられるはずもない彼女の長い髪を無意識に探してしまう。
酒を飲んで帰る時も、ホームにおりていく人影にハッとなっては人違いに小さく落胆する自分。
そんなことを繰り返しながら、時間は流れていく。
ある日の朝、駅から会社へ向かう途中に白いコートを着た彼女を見かけた。
お、あのコだ・・・
一瞬のことだった。
友達と二人で会話しながら歩く彼女の、その横顔にエクボが見えると、つられて自分も笑ってしまった。
まずい、俺・・・
ニヤニヤして、気持ち悪ぃじゃん・・・
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