4424人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
49
「ん。似合う。」
彼女の誕生日プレゼントに贈ったピアス。
それはピンク色のバラをモチーフにした、あることを意味するピアス。
柔らかな長い髪から、揺れて時折覗かせるその小さな輝きが彼女の雰囲気にぴったりで、俺は思わず手を伸ばして髪を撫でた。
「ユリ・・・・・泣くなよ。」
「・・・・・はい・・・・。」
やはり俺は、彼女の涙に弱い。
この涙は悲しみの涙でないことなど知っているが、それでも戸惑ってしまう情けない自分が、確かにいる。
俺のそんな表情を見て察したのか、ユリはハンカチで頬を拭うとにっこり笑ってみせた。まるで子供のような笑顔に、また俺の胸の奥が掴まれる。
「ん・・・・・そうそう、いいコだね。」
口では大人ぶって、あやすように彼女へ語りかけたが、喜んでもらえたことが嬉しくてたまらなかった。
最初のコメントを投稿しよう!