4424人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
会社を休んで2日目の夜。
ベットで苦しみながら寝返りをうつと、ガシャガシャと何かの物音で目が覚めた。
体は、鉛のように重い。
呼び鈴も鳴ったような気がするが、それに反応する気持ちはなく、宅配業者やセールスなら黙っていればいなくなるだろうと思っていた。
「氷室さん!ユリです。開けて!!」
え?・・・・
ユリ?・・・・
何度も鳴るチャイムと、ドアを叩く音。
そして、彼女の叫ぶ声を俺はこの時初めて聞いた。
無意識だった。
動かない筈の体を起こし、フラフラと寝室を出て玄関へと足を運ぶ。
チェーンでロックされたドアの隙間から、見覚えのあるコートが揺れている。
幻覚かと思った。
大声を出す筈のない彼女。
ここにいる筈のない、来る筈のない彼女。
まさか・・・・ 本当に、彼女なのか?・・・・
「ユリ?・・・・・。」
最初のコメントを投稿しよう!