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普段からは考えられないくらいハッキリした口調でそれだけ言うと、床にあったバックを肩に掛け、勢いよく部屋を出て行った。
ヤバい・・・
怒らせちゃったのかな・・・
『逆だったら氷室さんは私をおいて帰りますか?』
『私帰りません、何を言われても。』
目を閉じて片腕を額に乗せたまま、考えた。
あんな彼女は初めて見た。
それもこれも、俺のことを想ってくれる気持ちや、心配から見せたものなんだろう。
連絡もよこさない薄情な俺を怒ってるのか。
薬も飲まずに寝ている、子供のような俺に呆れているのか。
しかし俺は、いつでも笑っている彼女が強い口調で並べた言葉に、不思議と感動していた。
本気で惚れた彼女は、儚くて脆く見えるがそうじゃないんだと。
彼女の芯の強さを、知った。
息苦しさの中で、俺は気づく。
一人で寝ていた時の孤独感は、彼女が俺のことを思い訪ねて来てくれたことで、静かに消え去っていた。
それどころか「もう大丈夫」と言われているように安心して、体が自然と快方に向かっている気さえする。
彼女の存在の大きさを、思い知らされる。
俺はもう・・・・
ユリがいないと、駄目らしいな・・・・
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