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「氷室さん、ただいま。」 寝室のドアをそっと開けて、ユリが入ってくる。 カサカサとコンビニの袋からペットボトルを取りだし、ベットの横にある棚へ腕を伸ばす。 ふわっと、ユリの香りが鼻に届いた。 「ここにお水を置いておきますね。」 「・・・・・。」 俺は無言で頷くと、彼女は寝室を出て台所で何かをし始めた。 ユリ・・・何か作ってくれてんだ・・・ そういえば、このところ ろくなものを食ってない・・・ ヤバい・・・ こんな時にそんなことしてもらうと 泣きそうだ・・・ 少しして、ユリが鍋と茶碗をもって現れる。 「氷室さん、お粥ができました。」 「ん。」 ベットから上半身だけを起こすと、ユリは肩に上着を掛けてくれた。 鍋敷きなんて気の利いたものはないので、彼女は折り畳んだ新聞紙の上に湯気がたちのぼる鍋を置き、茶碗に粥をよそっている。それを箸と一緒に差し出すと、「少しでも食べて、薬を飲みましょう」と心配そうな顔で言った。
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