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「・・・・・ね・・・氷室さん?」 「ん?・・・なに?」 俺は話しながら彼女の首筋に夢中で唇を這わせ、指で下着のホックを探す。 「・・・・・もうダメですよ。」 ・・・・・・・は? 「ダメ。病み上がりなんだから。」 手が、ピクッと止まる。 「・・・・ええっ?」 いや、ちょっ・・・・ ちょっと、待て ・・・ 俺、すっかりその気で・・・ 「これ以上は、ダメです。また熱がでちゃう。」 「えっ、ユリっ!!」 彼女は俺の膝から立ち上がり、ブラウスをササッと直すと、すたすたと台所へ向かう。 コーヒーカップを洗うとバックを肩にかけ、力なくソファに沈む俺の頬にユリは自分からキスをしてにっこり笑った。 「氷室さん、私帰ります。また明日。・・・お休みなさい。」 驚くほど呆気なく、彼女は帰っていった。 部屋に残された、俺。 端から見たら情けない光景だが、不思議と心は清々しい。 俺の手の中にいても、時々思い通りにならない彼女は、5歳年上の自分よりも実は大人なのかも知れない。 やっぱり、ユリには敵わない。 俺のこれからの全てを、愛しい彼女のために。 彼女のこれからの全てに、俺が幸せを与え続ける。
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