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「氷室ーっ、ちょっといいか?」
「はい・・・?」
外商のデスクで伝票処理をしている俺の肩をポンポンと叩いたのは、外商統括部の木崎課長だった。
課長はそのまま統括部の隣にある応接セットへと歩いていき、課長と相向かいのソファへ腰掛けるよう、右手をヒラヒラさせて促した。
「なんでしょうか、課長。」
「氷室・・・お前、今期頑張ったなぁ。」
「は?」
「20日締め切りで四半期の数字が出たんだが、全体の2位だったぞ。」
「そうですか・・・。」
「しかも1位の倉田とは、たった150万の差だぞ。惜しかったな。」
「はい。」
「氷室ぉ、もう少し喜べ。このまま売り上げれば、下期は1位狙えるぞ。頑張れよ。・・・あ、それから年明けに表彰式があるから、ヨロシクな。」
「・・・はい。ありがとうございました。」
立ち上がりデスクへ戻っていった木崎課長を見送ると、俺は誰にも気づかれないように右手をギュッと握ってガッツポーズをした。
よしっ・・・やった
達成した・・・
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