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「うまっ。・・・ユリ、これ旨い。」
「そうですか?良かった・・・こういう甘辛の味付け、好きなんですねぇ。じゃあ、また作ります。」
「ん。料理上手な彼女がいて、俺は幸せだな。」
「ふふ、氷室さんは褒め上手ですね。」
目の前には、エプロンをつけて微笑むユリ。
さながら新妻のようで、可愛らしい。
箸を持つ指先も、お茶を沸かしに台所へ向かう後ろ姿も、髪を束ねたために露になる耳たぶも、ゆったりと話す声も、エクボも・・・俺の一生涯、側で見ていたいし感じていたい。
食器を洗う彼女の横で、俺は布巾を持ちながら「いつプロポーズをするか」を考えていた。
正直今日にでも言ってしまいたい気持ちがあるが、焦りは禁物だ。
シチュエーションだってプロポーズの言葉だって、大事に考えないといけないだろう。
クリスマスか?・・・いや、早すぎる・・・やっぱり指輪も用意しておきたいし・・・
どうすっかな・・・
「氷室さん?」
ハッとして彼女を見ると、濯いだ皿を持って俺をみている。
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