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「お待たせしました。」 エレベーターの扉が開いた瞬間に俺を見つけたユリは、驚いた顔がすぐに弾ける笑顔になって、俺の元にゆっくり近づいてきた。 「いや、時間前だよ。今日はトラブルに巻き込まれないように、さっさと帰ってきた。」 「ふふっ、本当は忙しかったんでしょう?」 「まぁね。でも今年はユリを泣かせたくないから、死ぬ気で仕事を終わらせた。」 俺は笑いながらその少し冷たい小さな手をとると、しっかりと指を絡ませて彼女を夜景が見える窓辺へ誘った。 冬の空気は澄んで、クリスマスカラーに彩られた街を美しく煌めかせる。 腰に手をまわして引き寄せると、俺を見上げて微笑む彼女。 「思い出しますね。」 「ん・・・この雰囲気の中で2時間も待たせたなんて、改めて悪いことしたと思うよ。」 「いいんですよ。来てくれたんだから・・・。」 その答えが嬉しくて、まわりに人がいることを忘れ、抱き締めたくなる。 どうにか堪えた俺は、彼女の頭を自分の体へ寄りかからせた。 マズイ・・・また緊張してきた・・・ 心臓の音が聞こえてなけりゃいいな・・・
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