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「氷室!・・・と、えっ、ユリちゃん?」 目の前に俺達を見て立ち尽くしていたのは、小野寺と遠藤だった。 豆鉄砲を喰らった顔とは、まさにこのことだろう。 あぁ、とうとう見つかったか・・・ そのうち誰かにバレると思っていたけど・・・ ま・・・構わねぇな・・・ ユリとの交際を、会社の連中に言ったことはない。 別に恋愛禁止の社内規定がある訳じゃないものの、その関係をおおっぴらにすることには、俺自身抵抗があったからだ。 無愛想で特に恋愛には不器用な俺と、いつも笑顔のユリとでは、釣り合いがとれないと自覚していた。おそらく、自分に自信がない現れだと思う。 ユリとの結婚を真剣に考えている今、二人の関係を誰に知られたところで何てことはない。俺は小野寺と遠藤を前に、心は落ち着いていた。 彼女は驚いて繋いだ手を離そうとしたが、とっさに俺はその手に力を込めた。 いいんだよ、ユリ・・・ もう堂々としていよう・・・
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