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「・・・ひっ、氷室。お前、ユリちゃんと。」
「んー。まぁ、そういうことだから。」
「信じらんねぇ。お前、ぜんっぜん女に興味ないような顔して・・・。」
「ハハッ、どんな顔だよ。」
「いつの間に・・・」
小野寺はさっきから狼狽えているようだけれど、その横で遠藤はじっと黙っていた。
「そうだなぁ、ちょうど1年くらいだな。」
「ええっ、じゃあ、俺がユリちゃんに遠藤を推してたこと、お前、知ってたろ?その時はもう・・・。」
「まあね。」
「言えよっ!!」
「言えるかよ。」
遠藤とユリのことを小野寺から聞いた時、隠していたことは悪いと思ったが、別に積極的に言うことでもなく黙っていた。
小野寺は怒っているより、呆れているような溜め息を大きく吐いた。
「ユリちゃんがいつだったか『好きな人がいる』ってハッキリ言っただろ?・・・女の子にそんなことを言わせるって、どんなヤツだろうと羨ましかったのに。」
「あー、ユリが確かに言ってたな。」
「お前だったのかよ~!・・・しかも今、サラッと呼び捨てだったぞ。」
「悪いな。」
俺はハハッと大声で笑いながら、繋いでいた手をはなしてユリの頭にポンッとおいた。
「つーことで、このコ、俺の彼女だから。」
えっ、と彼女は俺を見る。
そうだろ?と俺は彼女を見つめる。
クリスマスの夜に手を繋いで歩き、こうして見つめ合う甘い関係の二人を、何故か見せびらかしたい衝動にかられた。
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