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「氷室~。大晦日くらい、早く帰れよ。」
「あ、はい。お疲れさまでした。」
「お疲れさん、お先~。」
今日は大晦日。
デスクに座ったまま土屋課長に挨拶をすると、再び報告書にペンを走らせる。
何が俺をそんなに突き動かしているのか、結局残業を終えて会社を出たのは10時近くのことだった。
外商別館から駅への途中、ユリにメールを送った。
『仕事終わって帰るところ
天気予報で明日は晴れるって
ユリ、寝坊するなよ。』
ユリとの約束は午前4時だ。
初日の出を海岸から見るためには、早く起きないと間に合わないだろう。
かくいう俺も今から帰って、風呂入るだろ?・・・
それからすぐに寝たとしても
あまり寝る時間はねぇな・・・
電車に揺られ、年末の街の灯りをぼうっと見ながら考えていた。
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