4425人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
荘厳な光の矢が薄い雲を突き抜けて、冬の空へ放射状にはしる。
刻々と海の色を変え空の色を変えていく様は、えもいわれぬ美しさがあり神々しく、心を奪われた。
彼女を抱き締める腕に、力をこめる。
少し横を向いて俺の顔を見たユリは、柔らかく微笑んで再び水平線に視線を移す。
海からの風に散らされた彼女の長い髪が、朝陽に照らされて金色に煌めき、その眩しさが俺を狂わせていく。
彼女に伝える言葉を、ずっと考えていた。
彼女の記憶に残る、俺の気持ちを伝える言葉を、絞り出そうと悩んでいた。
シンプルにストレートに言おうと決め、頭の中で何回も繰返してその時を待った。
今が・・・・・その時だ・・・・・
自分の口が、勝手に動きだす。
「ユリ?」
「はい。」
「ところでさ・・・・・。」
「・・・・・・・?」
「俺と、結婚してくれないか?」
最初のコメントを投稿しよう!