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金色の光に照らされ、海岸に長い影を落とす二人。
風にあおられてまばたきをする彼女の瞳は、琥珀色に澄んで俺を映し出している。
涙で濡れた頬を、俺はなるべく優しく撫でた。
「ユリ・・・返事は?」
しゃくり上げながら、彼女は大きく一回頷いた。
「そう・・・・・よかった。ありがとう。」
あぁ、俺は救われた。
大粒の涙をぽろぽろ流しながら、それでもにっこりと笑った彼女を見て、そう思った。
この先、一生。
どんな困難があったとしても彼女の笑顔に、俺は救われ続けるだろう。
俺は、彼女に向かって大きく腕を広げる。
涙を一度だけ指で拭ったあと、ゆっくり近づいて胸におさまるユリは、はっとするほど綺麗だった。
「・・・・・大切にする、おまえのこと。」
「氷室さん・・・・。」
「・・・・・ありがとう。」
「私も・・・・・。」
「ん?」
「氷室さんを・・・・・幸せにします。」
俺は充分幸せだ・・・と言おうとして、やめる。
そうだ、ユリはそういうコだった。
守られっぱなしを良しとせず、この小さな体で俺のことを守ろうと真剣に考えてくれるコだ。
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