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「・・・・・・・・今以上に?」
「今以上に・・・。」
「・・・・・・・・ユリ。」
ユリの唇に、自分のそれを重ねる。
受け入れてもらえた悦びに、抱き締める腕が強くなっていく。
俺の溢れる気持ちに応えるユリの唇は柔らかく絡んで、胸の奥を「愛しさ」が暴れまわる。
長いキスを終えた後も、二人は黙って抱き合った。
朝陽はいつの間にか西に残っていた夜空を消し、温かく美しく海を照らす。
はじけ落ちた光は水面を揺らし輝いて、二人の未来を祝福してくれているようだった。
「あー、緊張したーっ。」
「へっ?」
突然体を離して、はあっと大きく息を吐く。
「手がベッタベタだよ・・・マジで緊張したぁ。」
「え・・・・・そんな風には見えませんでした。」
「いや、ヤバかったって。昨日の夜もなかなか眠れなくてさぁ。」
「・・・・・。」
「断られたら、俺、へこんでたなぁ。」
「私が、断ると思ってたんですか?」
「・・・・・いや、信じてたけどね。」
首を傾げながら微笑んだ彼女は、揺れる髪を耳にかけてそのまま指を毛先まで滑らせた。
大好きな仕草を、目を凝らして眺める。
俺は彼女に手をまわし引き寄せ、髪にキスをした。
ユリ・・・ 一緒に歩いていこう・・・
愛してる・・・
自分でも、もて余すくらい
おまえを愛してるんだ・・・
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