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車は海岸をあとにして、自宅への路を走っていた。
つい1時間前、俺は彼女に結婚を申し込み、それを受け入れてもらえたばかりだった。
片側3車線の国道は、普段とは違い余り車の往来がなく閑散としている。元日の朝から仕事をする車は少なくて、快調に帰り道を走行していた。
ふと隣を見ると、助手席の彼女は心地好い揺れに眠くなったのか、時々頭をカクッとさせては慌てて目を擦って前を見る、を繰返していた。
今日は朝早かったからな・・・
そりゃ、ねむいだろう・・・
「ユリ?」
「はっ、はい・・・・・。」
「帰るまで、寝てていいよ?」
「いえ、あのっ、寝ません。ごめんなさいっ。」
「ハハッ、車に揺られると眠くなるよな。暖房きいて温けぇし。実は俺、まだ興奮していて、まったく眠くねぇから。・・・ユリ、本当に寝てていいんだ。」
「でも・・・・・。」
「俺に気をつかうことないんだよ。」
「・・・・・。」
「だって、ユリと俺は夫婦になるんだから。」
「夫婦・・・・・。」
「・・・・・寝てなさい?」
「ふふ・・・・・はい。」
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