4425人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
微笑んだ彼女は、それでも少し意識して起きていたようだが、すぐにシートに体を預けて眠りについた。
赤信号で止まるたびにその寝顔を見て、一人でニヤニヤ笑う俺。
可愛くて可愛くて、ピンク色の頬に触れたくなるのを必死にこらえた。
部屋に戻ってからは代わって俺の方が眠くなり、初めてユリの膝枕で寝た。
柔らかさも香りも温もりも、どれも気持ちよくて、目を覚ました時には見始めた映画のDVDがすっかり終わっていた。
「コーヒー、飲みますか?」
「ん、飲む。」
あくびを噛み殺して体を伸ばした俺に、立ち上がったユリがキッチンへ向かいながら言った。
そうだ・・・・・
「あー、ユリ。エプロンしてー。」
「・・・・・今日は、特別ですよ?」
少し考えたユリはにっこり笑って、この日だから俺の願いを聞き入れてくれたようだった。
「やった。」
右手で拳を作り、小さくガッツポーズをした。
時々彼女は子供になって、時々彼女は大人になる。
無意識に使い分ける塩梅が絶妙で、そんなところも俺を夢中にさせる。
困ったもんだと、自分で自分を笑った。
最初のコメントを投稿しよう!