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コーヒーメーカーを操作する物音が耳に届いた時、我慢出来ずに立ち上がり、キッチンへ入った。 俺が選んだエプロンをつけ、カップを用意しているユリの後ろ姿に見とれながら、壁に体をあずける。 「やっぱ、可愛いなぁ・・・。」 俺に気づいたユリが振り返り、照れて少し俯く。 ゆっくり近づいて彼女の両手を握り、真っ正面に立ってしみじみとエプロン姿を見る。 「このコが、俺の奥さんになってくれるの?」 「・・・・・。」 「ずっと好きだった、このコが・・・・・。」 「・・・・・。」 「俺の・・・・・奥さんに?」 「・・・・・はい。」 はにかんで頷いた彼女を繋いだ両手で引き寄せ、俺の腕が包み込む。 見つめ合ったあと、今日何回目かのキスをした。 片想いだった。 不器用な俺が、初めてこれほど惚れた彼女は 手の届かない、遠い存在だと思っていた。 陰から見守るしかないと、諦めたこともあった。 俺には不似合いだと、勝手に思っていた。 でも彼女は、俺に教えてくれた。 こんな幸せが、あるということを。
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