2/3
4419人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
彼女との出逢いそれは、運命だったと思う・・・ 「おーい、氷室ぉ。」 「あ?」 外商デスクにいる俺へ声をかけてきたのは、同期入社の沢田だった。 「お前、井上さんの結婚式は出るんだろ?」 「あぁ明日か。井上さんは同じ課だからな、そりゃもちろん。」 「じゃ、夜の2次会も来いよ?」 「一応、顔を出すつもりだけど・・・。」 「井上さんの奥さんは人事部だってな。事務別館の女子社員が大勢来るぜ?」 「・・・アホらし。」 「氷室ぉ、こんな女が多い会社なのに、なんでいつまでも彼女を見つけないんだよ。つくづく変なヤツだよなぁ・・・。」 「・・・あのな、今は仕事が忙しくて女どころじゃねえの。俺がそれでいいんだから、ほっとけ。」 「はいはい。じゃ、明日の2次会は絶対来いよ。」 「わーったよ。」 呆れたように答えると、デスク上の伝票へ目を落として仕事を続けた。 沢田はそれ以上何も言わず、自分の課へ戻って行った。 パーティーは苦手だった。 東北の田舎出身ということもあるが、華やかな雰囲気に自分の身を置くと居心地が悪い。 香水の匂いをさせた派手な服の女たちがいて、頭が痛くなる。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!