4447人が本棚に入れています
本棚に追加
同じ会社にいる彼女。
今までのように、いつかばったりと会えるだろう。
その時は、彼女に連絡先を訊いてみよう。
そして今度は俺から食事に誘おう。
「・・・・・会いたい。」
自然と口から出た言葉に驚く。
今までの自分ではあり得なかったその感情が、もはや止められないところまで来ているのだと、悟った。
彼女とすぐに会えると思っていたが、1週間が過ぎ、2週間たっても会うことはなかった。
会いたいと願っている時こそ、その笑顔はいない。
以前なら店内を歩く彼女のことを、もっと見つけられていたのに。
そんなある日のことだった。
会社の帰りに、駅のホームで電車を待っていた。いつもとは違う階段を下り、12月の冷たい風に晒されながら、柱にもたれ掛かる。
柱の裏側から、風を避けるように現れた人影。
それは・・・彼女だった。
「・・・・あ。」
お互いに驚き、その場に動けなくなる。
あの非常階段で泣いていた日から、初めて会えた。
最初のコメントを投稿しよう!