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「どーも。」
俺がそう言うと、慌ててぺこっと頭を下げる。
小柄なそのコは、紺のワンピースを着て、長い髪の片側をピンで留め、一見地味な女のコだった。
その後、他愛もない話をする沢田たち。
彼女はその隣で、ニコニコと様子をみている。
あ、笑ってる・・・
このコ、エクボが出来るんだ・・・
へぇ・・・可愛いな・・・
横を向いて他の奴等と話をしながら、自分の視線を知られたくなくて、チラチラと彼女を盗み見る。
地味な服装をしているのに、彼女が笑うとそこだけ空気が明るく変わっていくのがわかる。 そんな不思議な雰囲気をもっていた。
彼女と2、3回、目が合ったけれど、会話に戻るフリをして慌てて視線を外した。
ヤバい・・・
何見てんだよ、俺・・・
一人で焦ってんじゃんか・・・
それは不思議な感覚だった。
初めて会ったこのエクボが出来る彼女のことを、自分の目が勝手に探してしまう。
そして、視界に入った彼女が笑っていると、それだけで安心している俺がいた。
この感覚は、いったい何なのか
その時の俺には、まったくわからなかった。
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