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「おいやめろやめろ。神聖なライブで喧嘩なんかするな」
「だってこいつがオシイナを侮辱しやがったんだ!」
「オシイナ? オシイナって誰だ?」
「はあ!? 押井伊菜に決まってんだろ! つーかお前ら誰も気づかないのか? オシイナがどこにもいないことに!」
するとファン達は、互いに顔を見合せ口々に言った。
「押井伊奈がいるわけないだろ。彼女の所属してるグループは“南田坂137”だ」
「いや、オシイナは先月“紺那坂139”に移籍しなかったか?」
「それは“押木伊乃”だろ? オシイナが移籍したのは“寝起き乙女200。”だ」
「え? 俺はとっくに引退したと思ってたが」
「待て待て待て! お前ら何勝手なこと言ってんだ! オシイナが移籍したり引退したなんて一切聞いてないぞ! オシイナは今も間違いなく“AKT148”のメンバーだーーっ!」
男が叫んだと同時に音楽が止み、シンと静まり返る会場内。 誰もがポカンと男を見つめる中、おずおずと一人のファンが挙手をし言った。
「あの……今パフォーマンスしてるグループ、“AKT148”じゃなくて“AKC147”ですよ?」
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