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第3話
誰そ彼時が近いからと言うことで、先程までトランプをしていたウルさん達が、私を送り届けてくれることになった。
「現世では、そんなに時間が経ってないはずですので、帰るとまた夜に戻りますからお気をつけて」
ヘィルさんはそう言い、彼らは何も無い小道の真ん中で足を止める。
「その木の間を抜ければ、元いた所に戻れるよ」
ウルさんは優しく笑い、季節外れな桜が咲いている木々を指差す。
「あ、言い忘れていたのだけれど……私達の存在は誰にも内緒よ?」
「は、はい」
「夢だと思って忘れちゃってくれた方がオレとしては嬉しいんだけどね〜」
妖艶に笑うジュリさんとケラケラと笑うロートさん。
「では……さようなら」
最後に挨拶をし、一歩踏み出すと辺りは急に宵闇に包まれて誰も居なくなった。空には真ん丸な月が浮かんでいる。私は満天の星と月明かりの中を歩き出した。
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