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「笹井さん、会社を辞めたの!!」
次の日、会社に行くと部署内が騒ついてた。
「今まで公共施設のコンペで採用された建築デザイン、玲斗さんが中学生時代に描いたもので、会社に居られないから今日付けで退職するって退職届けを出して私物片付けて帰ってった」
「公共施設のコンペに出す建築デザインはいいのに、他の仕事は微妙で、見た目が可愛いくて媚びるのが上手いからクライアントがOK出してる感じだったもんな!!」
部署のみんなが口々に笹井さんを悪く言う。
始業時間になった。
玲斗くんが内装デザインに関してのヒアリングだからと、クライアント先にわたしを同行させた。
車を走らせ20分後に着いたのが中洲の
オーシャンガーデンウェディングで、少し離れた先にある事務所の中に入り、経営企画部の濱田部長と打ち合わせをする。
『神崎さんのお父様とお母様に全てお任せにした1号館は大盛況で建って30年近くなるのにいまだに九州地方でNo.1の人気です。
だから2号館はその息子さんと奥さんになられる方に全て委ねたい』
そう言われ、玲斗くんとわたしが理想とする結婚式場の建築デザインを設計した。
『素晴らしい結婚式場になりそうで嬉しく思ってます』
お盆明けから工事に入るにあたっての最終確認で出向いた。
「6月15日の土曜日のお二人の結婚式、うちのNo.1ウェディングプランナーの谷口沙織に担当させます。
素晴らしい結婚式のサポートをさせていただきます」
担当のわたしと同い年ぐらいの女性が呼ばれ、結婚式までの段取りについての説明を受けた。
「……忘れてるかもしれないけど、お盆休みに彩花のご両親に結婚の承諾を貰いに行くからな」
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