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「……ごめん。神崎くんとは結婚は無理」
「なんで!!」
「神崎くんとわたしの関係は友達で、わたしを女として扱ってくれない。キスもそれ以上もしれくれないし、だから結婚は無理」
言っていい事なのか悩んだけど、このままこの友人以上恋人未満の関係で結婚なんてしたくなく、意を決してわたしは神崎くんに不満を伝えた。
「……じゃ、キスして抱いたら結婚してくれるの?」
神崎くんが一瞬哀しそうな表情を浮かべたけど、すぐに真剣な表情に戻りわたしの方を見た。
「……………」
神崎くんが立ち上がりわたしの手を取り、寝室に向かう。
「こんなシチュレーションが初めてになるのは嫌!!」
寝室に入ってお姫様だっこをされてベッドに降ろされた。
そして神崎くんがわたしの上に覆いかぶさり、見下ろしてくる。
「……彩花、好きだよ。愛してる。俺、ずっと女を穢らわしいと思っててそれで性欲を感じなくなってた。でも彩花と付き合うようになって、彩花の事は抱きたいとは思ってた。だけど、抱いてしまうと今できあがってる関係が崩れそうで手が出せなかった」
神崎くんはそう言うとわたしの唇に唇を合わせるだけのキスをした。
「無理矢理は抱きたくない。彩花に嫌われたくないから。これから少しずつ深めていこう」
神崎くんがベッドから降りた。
抱かれずに終わり残念に思いつつも、わたしは良かったと思った。
寝室を出て、ダイニングテーブルの上の食器を軽く洗って食洗機に入れて回す。
そして、いつもみたいに仕事を始める。
神崎くんとこれから少しずつ深い仲になっていくのが楽しみに思えた。
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