#5「名」

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#5「名」

僕はスマイリー。 ご主人様を探して生命エネルギーを探知しながら進んでいるよ。 この道は、「植物」の生命エネルギーが少ない。けど道なりに続いてるようだ。先は長そうだから、名前が決まった時の事を思い出しながら進もう。 正式名称「ヘルプロイドP.T._21s」っていう堅苦しい名前で販売されていて、スマイルフェイス社の顔として売り出された僕たちは、お店のショールームで展示されていたんだ。そんなある日、僕はとある男性に買い取られた。 その男性の生命エネルギーはどんよりしていて、今にも消えてしまいそうなくらい弱っていた。でもね、一緒に暮らしているうちに男性の生命エネルギーは少しづつ回復していった。 いつものように袋をぶら下げて買い物を手伝っていたんだけど、夕暮れの河原で、その男性が足を止めて昔話をしてくれたんだ。 「この道はね、昔飼っていたキャッシュ(顔が魚で体が猫の生物)のマオとよく散歩していた道なんだ。マオは僕を笑わす事が好きな子で、いつも笑顔にしてくれた。病気で亡くしてからきっかり笑わなくなったよ。君はいろんな人や動物に付いて行ったり、まるで生き物のような反応をしててとても微笑ましかった。こんなに心が安いだのは君のおかげだよ。君は僕の笑顔を取り戻してくれたんだ。「スマイル」だとただの笑顔だから…「スマイリー」だ。語尾を変える事で、ニックネームみたいになって、より親しみやすくなるから君は今日から「スマイリー」だ!」 この男性こそが、今探し続けているご主人様なんだ。 だから僕は、もう一度ご主人様の笑顔を守るために探し続けると決めた。 20bb8500-cfc8-4caa-818a-2431cf9d6ed3
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