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それで、外に出たら、半分の月が出ていた。
「――――でも、卵焼きがああいう形があるんだから、ホットケーキもあるんじゃないすか?半分に切って重ねたりとか」
「……なんでわざわざ綺麗に焼いたの半分に切るのよ。ていうか、あれは違う。一枚ちゃんとあったのを、半分誰かが食べたに違いない。……あんたが食べたんでしょ」
偽物の酔っ払い。ほんとはそんなに酔ってないけど、何でもいいからこいつに絡んでやりたかった。
柳田は、ちょっと考えて言った。
「……はい、俺が食いました。スイマセン」
「返しなさいよ」
「ええ?……いや、それはさすがにムリ……」
知らないうちに半分持ってった、あたしの心を返せ。
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