時をまつ

5

『葉山月子様

　月ちゃんお元気ですか？
　私はそうですね。まあ、元気です。

　私ってそんなにしっかりしてなさそうですか？
　面倒みてあげなくちゃと、思わせるほど、頼りなかったですか？

　今度、おばさんがお見合いをセッティングするそうです。
　写真を持ってくるって、張り切っていました。
　今どき、お見合いですって。
　でも、そうですね。
　私みたいなタイプは、何のきっかけも無かったら、ずっと独身かもね。

　お見合いって、会ってしまったら断り辛くないかしら。
　会う前から、断る心配してますが。
　でも、結婚て、だんだん気持ちが盛り上がって決めるものじゃないかな。
　初めから、結婚前提で、お互いの素性がわかってて会うって、何だか作為的で、逆転してると思わない？
　こんなこと言うと、月ちゃんならこう言いそうね。
「まだ唯子は、白馬の王子様が迎えに来てくれるって信じてるの？」
　そうね。
　ただのきっかけよね。
　　　　　　　　　　　　平岡唯子』