勇者一行の再会

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「と、日時確定しました。三日後です。平日ですので午後からの尾行になりますね」 話しながらもスマホ操作していた僧侶がそう告げる。三日後。その日に魔法使いを尾行すれば勇者が現れるかもしれない可能性がある。 「すごいな、どうやって特定したんだ?」 「まず私から魔法使いさんに遊びに行こうという話を持ちかけるんです。それでいつがいいかを聞いて、不自然に駄目な日を探るんです」 「いや、駄目な日ってそんなんいっぱいあるだろ」 「魔法使いさんは友達がいませんからほぼ暇です。そんな彼女に用事があるとすれば勇者さんです」 戦士はなんだか悲しくなった。しかし今現在ここにいる女性二人も魔法使いと仲良しとは言い難い。おそらく魔法使いには同性を警戒させる程の魅力の持ち主であるため同性に嫌われやすいのだろう。 だから魔法使いは基本暇で、彼女に用事がある日が一番あやしい。 「わかった、あたしはその日月曜で定休日だから行けるな。僧侶は平気?」 「ええ、夜勤はありますが大丈夫です」 戦士は美容師、僧侶は看護師。幸いにも二人の仕事は平日午後でも尾行しやすい職業だった。 そういえば、と僧侶は勇者の職業を思い出す。尾行していた時に見た彼は私服だった。スーツではなかった。 彼はこの世界で一体何の仕事をしているのだろうと僧侶は考える。しかしすぐやめた。もしも彼が無職だとしても養ってやればいいし気にしない。それだけの稼ぎが僧侶にはあったからだ。
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