クロス

親友

Side:真人

淳平の名前と同じ、いーい感じの喫茶店があるんだよって話を前にしてて……知らなかったんだけど、淳平、純喫茶とか古い雑貨屋とか、雰囲気があるとこ巡りするのが好きなんだって。

「前言ってたじゃん、いい感じの純喫茶があるって。今度の部署の忘年会の企画進行会議の詰め、そこでやろうぜ」

ヒロくんの部屋探しに行った翌日の昼飯タイムに、ちょっとどよん気味の俺の肩をぱんぱんと叩いて淳平が笑った。

相変わらず笑うと表情が幼くなってなんか可愛い。普段は彫りが深い顔立ちのせいか、怖い人に思われちゃうことが多いんだけど。

企画進行会議なんて大げさに言ってるけど、つまりは俺と淳平が幹事でね。淳平こういうのちょー気合入るからさ、いつも大好評で次の幹事もまかされるっていうね……

「いいけど、淳平大分出てこないといけないんじゃない？」

COFFEEじゅんぺいはどっちかっていうと俺んちの近くだし。

淳平の家に行ったことはないけど降りる駅は知ってて、そこは同じ沿線上ではあるもののもっと都心に近かった。

「いや、店が気になるし。電車一本だからしんどくもねえし」

「そう？ならいいけど。実はちょーオススメだから、見せれるの嬉しい！
週末、土日は俺どっちでもいいけど……土曜日の方がいいよね？」

だって日曜日はイブだもんね！世間的にはカップル総デートの日でしょ？

「いや、別にどっちでもいい。そういや日曜お前誕生日じゃん。しょうがねえなあ、俺様が祝ってやるよ」

「え、淳平デートじゃないの？」

そう言ったら目がキラン……っていうかギランッって……コワイっ！！

「俺が独り身だとなんかおかしいか？」

「やっ！！そんなことは……あれ？でも彼女、いたよね……？」

ぴくぴくって……じ、地雷……？？

「別れたんだよ……なんか文句あんのか……」

「ないですっ」

もー……怖いんだから。そもそも、怒ってなくても顔が怖いんだからね！自覚してほしいよ。

いや、イケメンなんだよ？？

動物に例えたら、黒豹！

前に黒豹似のイケメンって言ったら「褒めてねぇ！！」って怒られたけど。

女子社員にセクシーよね～って騒がれてるの、知ってるもんね！親友の俺、鼻高々！

「おい、真人！箸！」

「あ、ごめん」

入口に置いてあるトレーに順番に取ってくルーティンなのに、ちょっとぼーっとして通り過ぎた俺に、淳平が箸を取ってくれる。

しかも俺が取りやすいように真ん中を持って傾けてくれてさ……口調はコワイけど、すっごくよく気が付く優しい人。

見た目が迫力ある上に言いたいことはズバズバ言うから誤解されることが多いんだけど、嘘がなくて自分に厳しくて……俺にとっては本当に信頼できる大事な友達。