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二度目のマスター
電車のドアが左右にスライドしてさあっと冷気が顔に当たっても笑っちゃう。寒くないもんね~って。もうね、嬉しくって早速使ってるの!
オフホワイトと黒のピンストライプのニットトップスにちょっと厚手のグレーのスエットパンツを合わせて、ジャケットは黒のライダース。襟元に巻いたカズくんのチャコールグレーのストールのためのコーデ!
パンツの左のポッケから覗いてるストラップのキャラクターがカラフルだから差し色ってとこ?
5分前に着くように待ち合わせ場所の改札出たとこに行ったら、淳平はもう来てて。端っこの壁に軽くもたれ掛ってスマホをつついてるだけなんだけど、めっちゃくちゃ目立つ。
頭ちっちゃくてスタイルいいのもあるし、ハーフっぽい顔立ちもあるし、その上、かなりこだわりの強いお洒落さんだから。
まぁ今日は大人しい方のファッション。
キャメルのパンツに黒のゴツイブーツ、黒に近い紺のぴったり目のジャケットの前の金ボタンをきっちり止めて、裾からは中のチェックのシャツがちらり。
そんで首元にはハードさを緩和するようなダークブラウンのマフラーをゆったり巻いて……
いいなぁ~~好きだなあ~~
派手めファッションの時はちょっとぎょぎょっとする時もあるけど、カッコいいんだよね~~
「お待たせ!」
声を掛けると、お、っていう顔を上げた淳平はスマホをタタタッと触れてかばんに仕舞うと、「うす」と低い声で言ってこっちに歩いてきた。
「ここからすぐだから」
あちこちがクリスマスカラーで彩られた駅前を抜けて線路脇の側道を二人並んで歩くと、間もなく淳平が「あれか」って前を指差した。
俺も実は2回目のCOFFEEじゅんぺい。
緑と白の色褪せたしましまテント屋根がもう懐かしくてちょっとどきどきする。
「おぉ~いい感じじゃん!!」
テンションが上がって明るく笑った淳平は店の外観のあちこちを見ながら窓から中を覗くようにしてて、俺はその横で先導するようにドアを開けた。
そしたらあの時と同じようにドアベルがカラカランと鳴って、ちょうど正面にいたマスターと目が合った。
「お!ひさしぶり」
2回目なのに、前からの友達に向けるみたいな笑顔のマスター。
「こんにちは!ほら、あの時お話させてもらった同じ名前の友達。連れてきました」
「おお!じゃあこのイケメンがじゅんぺーか~うちのじーちゃんとは全然違うわ~」
マスターが屈託なく笑って言うと、淳平はちょっと照れたような顔で頭を下げて、長いまつ毛をぱちっと瞬いて店内を見回した。
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