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後ろを振り返ってはいけない
少年が部屋でじっと座っていると、浴室から両親の悲鳴が聞こえた。
少年はテーブルにあったナイフを手に取ると、浴室に向かった。
浴室の扉を開ける。
しかしそこには誰もいない。
「母さん、父さん、どこにいるの!」
少年は叫んだ。
すると、自分の後ろから物音が。
何かハアハアという呼吸の音も聞こえた。
肩に流れる息はとてつもなく嫌な臭いだった。
少年の体が冷え、汗が流れる。
これ、振り返ったらダメなやつだ。
少年は後ろを振り返らないように一歩一歩後ずさる。
背中からも何かが一歩一歩後ずさる気配がした。
少年はナイフを握っている手に力をこめる。
そしてもう少しで壁というところで後ろで「ウグッ」と言う声が聞こえた。
少年は後ろを向いたままナイフを勢いよく後ろに振った。
「オオー」
しゃがれた悲鳴が聞こえ、後ろの呼吸の音はなくなった。
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