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起床
金井創英の朝は早い。
布団から重たい体を持ち上げたら、1つ欠伸をして離れがたい布団から身を無理矢理出す。もちろん、隣で気持ちよく眠る恋人の倉持戒へのおはようのおでこにキッスは忘れない。
全く起きる様子もなく、気持ちよさそうないびきをかく恋人に癒され笑みを浮かべるのが彼の毎朝の習慣だ。
そうして大の男が2人で悠々と寝れるダブルベッドから離れると、洗面所へ直行して寝ぼけ顔を覚ますために冷たい水でさっと顔を洗い、歯を磨き、寝ぐせだらけのふわふわの猫っ毛茶髪を濡らし、ドライヤーでかわかしながら直し、ワックスで綺麗に整える。
鏡の中の自分に満足すれば、キッチンへと足を運び朝ごはんの準備。
和、という文字が似合う恋人の為に焼き魚に味噌汁、おひたしにほかほかの白ご飯という和食の朝ごはんを用意する。
恋人の笑顔を浮かべれば早起きして朝ごはんの支度をするのは全く苦ではないもので、ついつい鼻歌も出てしまう。
「ま、今日はこんなもんかな」
そろそろ起きる頃だろう、と思いながら出来上がった料理たちをテーブルに並べていく。
と、そのタイミングで寝室の方からアラームが鳴り響いた。
ジリリリリリリ
ジリリリリリ、ド、バキ、ガン、リィイィイン
確かなアラームの後に、響く、破壊音。
その音に、ああ今日も100均の目覚まし時計買わなきゃなぁ、もう何十個目だっけなぁ、と思いながら創英は皿を並べていく。「あ、やべ」という声が聞こえたが、創英の地獄耳はその後の小さな「まぁまたソーが買ってきてくれるか」という声をしかと聞いた。
「ふあああ……はよー……」
大きな欠伸と共に起きてきた恋人の戒に「ん、おはよ」と満面の笑顔を向けながらも、頭の中では、コンノ野郎今日は絶対寝かせてやんねぇ、と誓う創英だった。
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