青年は前後不覚

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青年は前後不覚

体格差に物言わせて、無理やり連れ込まれたのは寝室だった。 ベッドに放り出されたが、さすが安物ではないようで痛みはあまり感じない。 「母も単身赴任中の父のところに行ったんですよ。三日は帰ってこないかな」 「み、三日……」 (まさかその期間オレを好き放題するって事じゃあねぇだろうな) 冷や汗が背中を伝う。 さっきの下手くそなキスで、このガキの罰とやらの意味が分かったが。 「き、君さァ。少し混乱してんじゃあないか?」 母親の浮気相手を乱暴しようってマトモじゃあない。 「混乱? してないですよ。それより、悔い改めてください」 「く、悔い改めるって……」 確かに後悔はしてるけどさァ。 「ぅ、んァ……」 絶句していたら、のしかかってきた男の体重に息が詰まりそうになる。 「……やっぱり悔い改めなくていいです。母じゃなくて、僕を愛してください」 「はァ?」 何言ってんだこのガキ。頭おかしいんじゃあないのか。いきなり過ぎるだろ。思考の飛躍怖すぎる。 「ま、待った……君、そっちなの?」 「そっち?」 「あ、ゲイなのかってこと!」 「ゲイ、じゃありませんよ?」 キョトンとした顔で首をかしげる。 (いやいやゲイかバイだろ、どう考えたって) 男のオレにのしかかってる段階。あ、そうでなくて性欲解消のみって可能性もあるか。 「僕が恋をするのは初めてなもんで……ゲイってあれですよね? 男性しか好きにならないんでしょ。別に僕は先生が男性だからこういう事してる訳じゃないです……先生を愛してるからです」 「あァ!?」 訳わかんねぇやつだな。 こいつ、オレに嫌がらせしてたんだよな?
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