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青少女は動揺す
華子はその細い足を組み、気だるげに放課後の教室。椅子にもたれかかった。
特に意味は無い。最近見た洋画の女スパイに影響されているのだ。
「ンで? その『先生』の情報集まった?」
少女のその言葉に、親友である太郎は元気に頷いた。
「うん! たくさん集めたよ。ほら」
そう言ってえらく幅のある大型の封筒をテーブルに置く。
「……これ。全部1人で?」
中には何十枚もの写真や覚書があった。
「先生、リア充だからさ。すごく大変だったよ」
「そ、そりゃあこれだけ隠し撮りしてたらね……アンタこれ……」
ストーカーなんじゃないの、と言う言葉を彼女は飲み込む。
(そんなこと言って、ここで辞めたらつまんないわよね)
そう既に彼女は純粋に面白がっていた。
「よく頑張ったわね。で、こいつをどうやって使うかしら」
「あ。僕もう行かないと」
「え?」
「先生、そろそろ自宅近くの駅に着く頃なんだ。……先生の住んでる所って、ここから近いんだよね。見に行こうかなって」
「も、もう情報はいいのよ?」
彼女が狼狽えて言うが、太郎は立ち上がる。
「だって、先生危なっかしいからさ。見守ってあげなきゃね」
「は? 何を言って……」
その問いに答える暇もなく、彼は教室を出ていった。
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