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 明日も会える。俄然嬉しくなる。  雅が急にぽんと立ち上がり、リビングを見渡した。 「いいこと思いついた! DVDを見るだけじゃつまんないから、明日、この部屋を掃除してあげるよ! 雨宿りをさせてくれたお礼も兼ねて」 「掃除!? べ、別にいいよ」  突然何を言い出すのかと驚くと、雅は両手の拳を握って力説し始めた。 「よくない。部屋が綺麗だと脳にアルファ波が出て、ものすごくリラックスできるんだよ」 「あるふぁ?」 「ストレス解消、疲労回復に繋がる脳波。せっかく立派な家に住んでるんだから、居心地のいい空間にしないと」    雅が窓辺に立つ。そして雑草が生い茂る庭や、雨の景色を眺めた。 「晴れてたら見晴らしもよさそう! 別荘みたいな家だね」 「古いだけの小さな家だぞ?」  暁翔も並んで窓辺に立った。  雨のカーテンの向こうでは花火大会が続けられており、夜空に光の花が咲いている。こちらは土砂降りなのに、向こうは華やかな花火。 「改めて見ると、不思議な光景だよなぁ」  ぼんやり言うと、雅もぽつりと呟いた。 「なんか、今の自分みたい」 「? どういう意味だ?」  綺麗な横顔が寂しげに微笑む。 「僕……キラリボーイズ、もうすぐクビになるんだ」 「えっ……!?」
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