337人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
明日も会える。俄然嬉しくなる。
雅が急にぽんと立ち上がり、リビングを見渡した。
「いいこと思いついた! DVDを見るだけじゃつまんないから、明日、この部屋を掃除してあげるよ! 雨宿りをさせてくれたお礼も兼ねて」
「掃除!? べ、別にいいよ」
突然何を言い出すのかと驚くと、雅は両手の拳を握って力説し始めた。
「よくない。部屋が綺麗だと脳にアルファ波が出て、ものすごくリラックスできるんだよ」
「あるふぁ?」
「ストレス解消、疲労回復に繋がる脳波。せっかく立派な家に住んでるんだから、居心地のいい空間にしないと」
雅が窓辺に立つ。そして雑草が生い茂る庭や、雨の景色を眺めた。
「晴れてたら見晴らしもよさそう! 別荘みたいな家だね」
「古いだけの小さな家だぞ?」
暁翔も並んで窓辺に立った。
雨のカーテンの向こうでは花火大会が続けられており、夜空に光の花が咲いている。こちらは土砂降りなのに、向こうは華やかな花火。
「改めて見ると、不思議な光景だよなぁ」
ぼんやり言うと、雅もぽつりと呟いた。
「なんか、今の自分みたい」
「? どういう意味だ?」
綺麗な横顔が寂しげに微笑む。
「僕……キラリボーイズ、もうすぐクビになるんだ」
「えっ……!?」
最初のコメントを投稿しよう!