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(こんなの、まずいって)  このまま一緒にいたら、どうなるのだろう。  同性愛者になってしまったら、どうしよう。  怖い。  同性愛者は何か得体の知れない、自分とは異なる別世界の人だと思っている。自分には理解できない存在だ。マイノリティゆえ、世間には冷たい目で見る人もいる。  突然、スマホが音を鳴らしたので暁翔はビクッと肩を揺らした。  画面をタップすると、京介から『よ!』という短いメッセージが届いていた。京介に似たタヌキが、片手を上げるイラストのスタンプもある。 『よう。何?』と短く返信した。 『あれ? 返信速いな。雅ちゃんは?』 『今、シャワー浴びてる』  数秒後、京介から返信が来た。 『お、おう。エロいなぁ』  エロい? 『何言ってんだ?』 『またまたぁ。雅ちゃんと仲良うしとったんやろ?』  仲良く? まあ、手は繋いだが。……まさか見られていた!? 『み、見たのか?』  背中に汗をかきながらメッセージを送信すると、『誰が見るかいな!』と即座に返信が来た。タヌキが怒っている。 『おまえら、つき合うとるんやろ?』  一読してギョッとした。 『つき合ってねえよ!』 『照れんでもええって。ほんで、やっとったんやろ?』  やっとったって……。  スマホを持つ手がぷるぷると震えた。完全に誤解されている。 『断じてやってない!』 『ほな、これからか。男同士ってどうやるか、よぉわからへんけど、ローション使うん?』 『俺はホモじゃねえよ! 勝手に勘違いするな!』 『え!? あんなにデレデレしとったから、てっきりつき合うとると思ったのに』  血の気が引いた。人からそんな指摘を受けたのは初めてである。周りから、お前はいつでもクールだと言われる自分が、まさか雅の前でデレデレしていたなんて。 『俺が……ほんとに?』 『自分で気づいてへんのか?』 『うん……』 『いやぁ、恋愛は自由やし、お互いに好きならええかと思うて俺、さっさと帰ったんやで。今まで女とつき合うてた暁翔が男なん!? ってびっくりはしたけどな』 『俺は誤解されたことに驚いた』 『あながち誤解やないかもよ? 自分の胸に手を当てて、雅ちゃんのことをよーう考えてみたらどうや?』  まさに今それをしており、やばいと思っていたのだ。  そのとき風呂場の扉が開く音がして、雅がシャワーを終えた気配がした。もうすぐリビングに戻って来る。暁翔は急いでメッセージを送った。
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