344人が本棚に入れています
本棚に追加
十二月に入ってクリスマスが過ぎ去り、そして大晦日の夜。
暁翔は都内のコンサートホールでキラリボーイズのライブを鑑賞した。
二流のアイドルとはいえ、ステージは十分に大きい。華やかな照明と重低音の音楽がライブを盛り上げる。観客はほとんどが若い女性だった。皆、手にペンライトや、派手なうちわを持ってライブに熱狂している。
初めてアイドルの、しかも男性アイドルのライブに参加した暁翔は、キラボのパフォーマンスだけでなく、ファンの興奮ぶりにも圧倒された。
ライブの終盤、航貴の卒業が発表された。途端にファンから絶叫のような悲鳴が上がった。続いて雅のフロントへの加入も発表され、ファンのボルテージがさらに上がる。
その声に後押しされるように、ステージ上に雅が現れた。キラキラと耀く白いスーツを着た雅が、客席に向かって手を振った。
「みんなー! これからよろしくねー!」
大歓声が湧く。スポットライトを浴びた雅は晴れやかで眩しい。暁翔の隣に立つ女性が「キャーッ!」と歓喜の声を上げた。周囲のファンも「みやびちゃーん!」と口々に叫ぶ。
「やった! ずっと応援してきた雅ちゃんがやっとフロントになったよぉ!」
隣の女性は泣き崩れてしまった。
「だ、大丈夫ですか」
暁翔が思わず声をかけると、女性は「すみません! すみません!」と泣き笑いで、よろめきながら立ち上がった。
ステージ上では聖哉が「今日からフロントはこの六人だ! 応援よろしくなー!」と叫び、ファンが再びの大歓声で応えた。
最初のコメントを投稿しよう!