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暁翔は天井を仰ぎ、それからうなだれて眉間を抑え、溜息を吐きながらゆっくりと文字を打った。
『惚れてる』
雅への気持ちをはっきりと自覚した以上、気心の知れた京介に嘘をつくのは心苦しい。同性愛に偏見の少ない彼なら理解してくれると信じ、思いきって本音を書いた。
『そうか! ほんならもう告白したんか?』
『いや、まだ……』
『はあ!? はよせぇ!』
どつかれた気分だ。
わかってるよ、でもさっき認めたばかりなんだよ、と胸中で言い訳をする。
『まあえいわ。暁翔もやっと本気になれるやつに出会うたんやな。せいぜいきばりや!』
本気に──。
(そうだな。俺、自分でも信じられないほど本気だ)
暁翔は『おう、がんばる』と返信した。
雅を思うだけであたたかい気持ちになる。苦しくて堪らなくなるときもある。
体中が恋に支配されていると感じる。気持ちはあふれ出しそうなほどに膨れている。
好きだと言って断られたら、友達を続けられなくなるだろう。
それは辛い。だけど伝えなければ恋人にはなれない。
(やるしか、ない……)
冬公演が終わったら、雅に告白しよう。
暁翔は強く決意した。
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