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「ねぇ誠也。」
そよそよと聞き耳をたてる風。
「ん?」
ヒュルルルルル
風が強くなる。
「私...ずっと前から好きだったの。」
「...え?」
「いつも笑顔な誠也が好き。」
「叶朶...実は、俺もだよ。」
─違う...これは夢よ...
こんなにも上手くいくわけないじゃない...!
こんな場面を何回も想像した。何回も夢に出てきた。そのたびに今回こそは予知夢だ、とか上手くいく、とか勝手に勘違いして、現実に苦しんだ。
「あ、そーいえばっ!」
誠也が手をパチンと叩く。
「この本、欲しがってたろ?」
そういって差し出されたのは、一冊の分厚い古びた本だった。
「─神魂導書じゃん!」
「あぁ。あげるよ。大事に読めよ?読書オタクッ」
誠也の指が額に近づいたかと思うと、バチッと弾かれた。
─以外と痛い。
腫れちゃうかも。
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