アマイ・テ・ランギ

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アマイ・テ・ランギ

本を読むのは楽しい。 すぅっと引き込まれて、自分も主人公になったような気分になる。 書いてある五感を想像することは、ドキドキすることだった。 「神魂導書(シンコンドウショ)」は、神々の話を記している。 樹の神 ククノチ 日の神 アマテラス 海の神 ワタツミ 空の神 アマイ・テ・ランギ 炎の神 ロキ この五人の神が、世の中の悪の根元である 「悪徒」を倒していく話だ。 いかにも子どもらしい雰囲気だが、この本は「大人でも充分面白い!」と大反響を呼んでいた。 作者は不明。 読み進めるスピードがどんどん速くなる。 パラッ パラッ この本を読むと頭が冴えるらしい。 どんどん内容が頭に入ってくる。 最後のページまで読み終わると、裏表紙に 「アマイ・テ・ランギ。目覚めよ。」 と書いてあった。しかもサインペンのような筆圧で。 「んもう!誠也...ふざけてるの!?」 LINEで問いただそうと、スマホの電源をいれると、見覚えのない画面が目に入った。 ─あれ、そういえば誠也がくれたときはキチンと袋に包まれてたよね...? 「え!?バグ!?」 ところ構わずタッチしていると、 「ほすと...ゲーム?」 筆記体の題字が目にはいる。 host game と書かれた画面には、可愛らしいフクロウがいた。 「やあ!俺っちタケっていうんだ!」 「うわあああああ!?」 「名前を入力してくれっち!」 なななななななにこれぇ~!? やっと手にいれた(もらった)神魂導書には アマイ・テ・ランギ目覚めよぉぉ!!! って中二病チックなこと書いてあるし、問いただそうとしたら、フクローがいる! 「まぁ、入力しなくてもお前の名前はわかるんだけどなっち!」 「はぇ!?意味わかんないし...」 「お前の名前は空野 叶朶だろっち? お前は神魂導書に書いてある、空の神 アマイ・テ・ランギの宿主(ホスト)なんだっち!」 「ほ、ほ、すと... ─って、は!?あの宿主(ホスト)!?」 宿主(ホスト)とは─ かつて世界を統一していた五人の能力者の魂...神魂が憑依している人間のことである。 神魂には感情・意志・思考などがちゃんとある。 宿主(ホスト)はその能力者の能力を部分的に使うことができる。 宿主の力が神魂に認められていくと、それに伴い使える能力も増える。 「あ、“ほすと”ってイヤらしい意味じゃないっちよ?」 「んなのわかってるわ!」 しまった、ノリツッコミをいれてしまった...  「宿主(ホスト)は、能力者様の意志を受け継ぎ、世を継承する運命にあるんだっち!」 フクロウが翼をパタパタさせる。部屋のなかで。 ─ホコリが飛ぶって。私が掃除するんだけど。あ、画面の中だわ。 「ん?神魂導書によると、能力者は五人いるよね? 樹の神 ククノチ 日の神 アマテラス 海の神 ワタツミ 空の神 アマイ・テ・ランギ 炎の神 ロキ だっけ?」 「ああ、そうだっち。一回読むだけで覚えるなんてさすが宿主(ホスト)だっちね!」 いやぁ...フクロウに褒められても嬉しくないってゆーか...。 「てことは、私以外に宿主(ホスト)は四人いるの?」 「そーゆーことになるっち。」 おいおい、ちょっと待て。 今さらだけど、私...今... 画面の中のフクロウと話してるぅう!!! しかも自分が宿主(ホスト)って認めちゃったぁぁ!!!私っっ!!! 私って...単純? 「そこの...ハァハァ、フクロー君...ッハァ、名前なんだっけ...」 「“タケ”だっち。」   「竹田...?人間みたいな...名前してんのね。 ふぅ。もう、スマホから出てきてよ。」 あ、、無理か。画面の中から出てくるとか見たことないもんな。そりゃ当たり前か。 「わかったっちよぉ...オッゴラショイ!!!」 いや、掛け声オッサンかよ。 ニュッ あ、右手...手?羽?が出てきた。 ニュッ あ、左のなんかが出てきた。 ズブブブッ 全身出てきた。 「プハァ、苦しかったっち...」 「─ウギャアアアアアアアアア!!!」
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