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第六話『高乃グループ』
実家から戻ったなぎさは、普段通りに仕事をこなしていた。ある時はメイド長たちの指示に従い、またある時は千穂の相手をした。
そして、迎えた四月一日。
この日もなぎさは普段通りに仕事をこなす。そして、廊下に掃除機をかけている時だった。
「な、ぎ、さ、さーんっ!」
突如としてなぎさは背後から抱きつかれたのである。
「何をなさるんですか、千穂様」
驚くなぎさではあったが、そこは冷静に対処する。ところが、千穂の姿を確認したなぎさはさらに驚いた。
服装がいつもの地味なものではなかった。肩が大きく開いたフリフリのドレスにかかとの高い靴、それにポニーテールに加えて派手な髪飾りを付けていた。
「千穂様、その格好は一体?」
なぎさの問いかけに千穂は「覚えてないのですか?」ときょとんとする。そして、ひとつ咳払いをしてからなぎさを連れて移動する。どこに行くのか不安がるなぎさだったが、連れてこられた場所には大勢の人が集まっていた。
「これは……、ここにいるのは高乃家の関係者ですか?」
「えぇ、ざっと二百人はいます」
驚くなぎさに、千穂は自慢げに、そして大げさな動きをして言った。
「なぜなら本日四月一日は、我が高乃グループの新年度の挨拶会があるのです!」
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