第七話『女子高』

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第七話『女子高』

 新年度の挨拶会からほぼ一週間後、いよいよ学校が始まる。通う事になる学校は、高乃の屋敷からは少々距離がある。本来であれば、財閥令嬢ともなれば車で送迎されるものなのだが、千穂はそれを拒んであえての自転車通学を選んだ。  朝食を済ませたなぎさたちは玄関に集合する。そこにいたメンバーは、なぎさ、千穂、美々の三人であった。真新しい制服に身を包み、カバンを背負って自転車をこぎだす。  春の風が心地よい。だが、なぎさは短いスパッツを穿いているとはいえ、膝丈の短いワンピースの裾はやはり落ち着かない様子だった。  片道二十分、自転車通学としてはそこそこきつい。ところが、学校に着いた千穂はさわやかな笑顔を浮かべていた。それに対して、なぎさと美々は少々疲れた様子だった。  駐輪場に自転車を止め、下足場から教室へと向かう。クラス分けは各教室の廊下に貼り出されており自分たちでそれを確認して教室に入るのだ。  狭い廊下に人があふれかえる。幅が二メートルはあるはずなのだが、さすがに百何十人もいれば狭くもなる。そんな人が入り混じる中、なぎさは千穂をガードしつつクラスを確認する。  多くの同級生にもみくちゃにされた中、なんとかクラスを確認したなぎさたち。どうやらなぎさたち三人は、同じクラスになったようだ。
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