第七話『女子高』

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 なぎさたちは、声の方をに振り向く。そこに立っていたのは、金髪ツインテールという容姿におともの者を侍らせるという実に絵に描いたようなお嬢様だった。 「お久しぶりですね、一花さん。お元気そうで何よりです」  千穂は慌てる事なく冷静に返す。そして、なぎさたちの方を見て紹介をする。 「この方は鷲尾浜一花(わしおはまいちか)さん。大手貿易会社の御令嬢で、私とは幼い頃から何度かお会いして顔なじみなんです」  千穂の紹介に(大して無い)胸を張る一花。 「千穂さんもこの学校に通われるのですね。いい機会ですわ。どちらが上か、まずは明日の試験で勝負しようではありませんか」  ……唐突に勝負を仕掛けてきた。実にプライドも高そうである。それに対して千穂は、 「あら、ご冗談を。私は勝負とか関係なく、その時のベストを尽くすつもりです。小さな勝負に拘っていては、大局で負けてしまいますよ」 大人な対応でひらりとかわす。しかし、この時の千穂の言葉は、なぎさの心にもチクリときた。だが、この時のなぎさにその理由はまったく分からなかった。  千穂の言葉にカチンときたのか、一花の取り巻きが口々に文句を言う。それに対しても涼しい顔をする千穂に、 「余裕ぶっていられるのも今のうちだけですわ。見てなさい、今に大恥をかかせて差し上げますから」 一花は捨て台詞を吐いて、取り巻きとともにその場を去っていった。
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