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屋敷に戻ったなぎさたちは、午後から勉強会を行うので千穂の部屋に集まって昼食を取っている。本来、主人と使用人が一緒に食事を取る事はそうある事ではない。だが、千穂の場合は家族の反対を押し切って、こうやって時々使用人たちと食事を取っているのだ。実にわがままである。しかしながら、千穂が使用人の中に混ざって活動をするという事は、高乃家からすれば使用人の監視の意味合いもあるとして、もはや黙認の状態となっているのだった。
ほんわかした昼食を終えると、
「入学直後の試験なので、入学試験とさほど大差はないとは思います。しかし、お二方は推薦という形で入学していますので、しっかりと復習をしておくべきでしょう」
千穂がそう言って、中学の時の教科書を本棚から取り出して机の上に置く。明らかに嫌な表情をした美々に、千穂が微笑みながら続ける。
「我が校は一般的には女子高ではありますが、いわゆるお嬢様学校です。ある程度の教養が要求されますので、赤点を取ろうものならお休みが潰れてしまいます。しっかりと勉強なさって下さいね」
ちょうどそこへ二つ上の千歳も加わり、美々は観念したようでいつもの明るさもなく、ひたすら勉強に打ち込むのだった。
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